交通事故を起こすと、通常は保険会社が間に入って示談交渉を行うのが一般的です。
しかし、例えば、被害者側の過失がゼロであるような事故の場合などには、被害者と加害者側の保険会社との間で交渉が行われることもあります。
通常、相手方の保険会社が提示してくる金額は、適正な賠償額(一般的には裁判所基準の金額)より低い場合が一般的です。それは、被害者の被害の程度が大きくなり(後遺症が残ったり、死亡したり)、損害賠償額が大きくなればなるほど顕著です。顕著な例でいえば、慰謝料、休業損害、逸失利益等の算定について、保険会社は、最初から裁判所基準で計算することはせずに、それより低い自賠責の基準であったり、保険会社独自の基準で計算した金額を提示してきます。
すると、軽微な事故であれば数万円から、大きな事故であれば数千万円も低い金額になったりするのです。「世間的に名の通った保険会社が出してきた金額なのだから、妥当な数字なのだろう。」と思うのは大きな間違いです。賠償金を支払うのが保険会社の仕事なのですから、その金額をできるだけ低く抑えようとするのはむしろ当然のことです。そこで何も疑わずに示談書にサインをしてしまえば、それ以上適正な賠償額を受け取るのは極めて困難です。
しかし、一般の方は交通事故の損害賠償に関する知識は少ないのが普通ですから、保険会社に対してどのように交渉していいのか分からないかも知れません。今は情報面に関してはインターネット等で色々と調べたりすることもできますが、いざ現実の交渉となると、相手もプロですのでなかなか上手く行かないことも多いと思います。
むしろ、交通事故による被害を受けた上、さらに示談交渉について多大な労力を費やす余裕まではない方の方が多いのではないでしょうか。実際に、事故で被害を受けた側であるにもにもかかわらず、その後の加害者や保険会社の対応によってさらに被害を受けたと感じる方も少なくありません。
当事務所では、このような交通事故に関する示談交渉、訴訟手続による解決をお手伝い致します。
事故当事者双方の身体にケガがなく、車の修理費や代車費用などが問題になる場合です。いわゆる強制保険である自賠責保険は、物件損害については適用されません。
人身事故の場合と比べれば損害額は低額です。しかし、そうであるからこそ、事故原因及び過失割合などについて争いとなる場合が少なくありません。人身事故と異なり警察での実況見分も行われませんので、加害者側が加害者意識を持ち辛かったり、証拠が乏しかったりするのも要因ですが、弁護士の介入による話し合いにより比較的簡単に解決できる場合もあります。
治療費及び通院交通費などについては実費での請求が可能です。問題になりやすいのは鍼灸、マッサージの費用や特別な治療器具代、付添看護費、死亡の場合の葬儀関係費用などです。
交通事故により休業した場合に、その休業期間中の収入の減少額を請求できます。
この点、自賠責保険の基準では原則1日につき5,700円となっており、保険会社もそのような計算での提示を行ってきますが、実際に請求できる金額は給与所得者や事業所得者であれば休業期間中の現実の収入減少額です。また、主婦などの場合も賃金センサスの収入を基礎とした休業損害が認められますし、学生などの無職の方についても場合によっては認められることもあります。
交通事故によって被害者に後遺症が残ったり、被害者が死亡してしまった場合には、事故がなかったならば将来にわたり得られたであろう収入の減少分を請求できます。
後遺症の場合にはその後遺障害の等級(高い順に1級から14級まであります)にもよりますが、一般的に後遺症や死亡の場合の逸失利益は高額になることが多く、交通事故の賠償額を大きく左右します。
逆にいうと、保険会社による賠償額の提示において1番金額の差が大きいのがこの逸失利益であり、保険会社はとにかくここを低額に抑えようとします。保険会社の最初の提示は低額ですので、交渉や裁判などにより平気で金額が数千万円アップしたり数倍にアップしたりすることも珍しくありません。下記の計算式に被害者各人の状況に応じた数字をあてはめて計算します。
交通時により入通院した場合の慰謝料が請求できます。この点、自賠責保険の基準では原則1日につき4,200円となっており、保険会社もそのような計算での提示を行ってきますが、実際にはケガの程度、入通院期間又は回数に応じてそれよりも高い計算式での請求が可能です。
被害者が後遺症が残ったり、被害者が死亡してしまった場合には、上記の入通院慰謝料とは別に慰謝料の請求が可能です。後遺症の場合には1級(2,800万円)から14級(110万円)、死亡の場合には2,000万円から3,000万円というのが一般的な目安です。
物件事故の場合も人身事故の場合も、被害者側にも過失がある場合には、その過失の割合に応じて賠償額が減額され、さらに加害者側にも損害が生じている場合には、その過失の割合に応じて加害者側の損害について賠償責任を負うことになります。この過失割合については双方の認識の違いから争いになることも多く、どうなるかというのは一概には判断できません。
ただし、状況応じて類型化された基準があります。例えば、
①車、バイク、自転車、歩行者などの区別、
②事故現場の道路状況、
③事故当時の当事者の走行状況 等です。
実際の判断においては、この類型化された基準から加減修正することにより判断することになります。
相手方が任意保険に加入していない場合や、加入していたとしても相手方が無過失主張の場合などは、保険会社ではなく直接相手方との交渉となり賠償金の請求も困難な場合が考えられます。
しかし、そのような場合でも、弁護士の介入によって解決が図れることも少なくありませんので、お困りの場合にはまずご相談下さい。